育休復帰の準備 — 3ヶ月前から始めるToDo
慣らし保育・家事分担の見直し・職場との調整・病児対応の備えなど、復帰までの3ヶ月をどう使うかで復帰後の暮らしやすさが大きく変わります。時系列で具体的なToDoを整理しました。
はじめに:育休復帰前に整えること
育休からの復帰は、子供の慣らし保育・夫婦の家事分担見直し・職場の役割確認という3つの大きな調整を同時に進める時期です。復帰直前にまとめてやろうとすると、保育園の受け入れ準備が間に合わなかったり、職場側との認識ズレが残ったまま初日を迎えてしまったりします。3ヶ月前から少しずつ進めておくと、復帰後の生活がだいぶ楽になります。
この記事では「3ヶ月前 / 2ヶ月前 / 1ヶ月前 / 1週間前 / 復帰後」の5ステップで、それぞれの時期にやっておきたいことを整理しました。一度に全部に取り組む必要はなく、家庭の状況に合わせて「うちはここを重点的にやろう」というイメージで読んでもらえれば十分です。家庭ごとに事情は違うので、夫婦のあり方や働き方に「こうあるべき」という正解はありません。
復帰3ヶ月前
復帰3ヶ月前は、まだ「日々の育児」が中心の時期ですが、ここで保育園・職場・制度の3軸を一度整理しておくと、後がぐっと楽になります。
保育園・慣らし保育の予定確認
多くの認可保育園では、入園後に1〜2週間程度の「慣らし保育」期間が設けられます。期間や進め方は自治体・園によって幅があるので、入園説明会や面談で次の点を確認しておくと安心です。
- 慣らし保育の標準的な期間(1週間〜2週間が一般的、園によっては3週間以上)
- 1日目・1週目・2週目の預かり時間の進み方
- 給食開始のタイミング
- 離乳食の進み具合・アレルギー確認
- 持ち物(着替え・おむつ・お昼寝布団・名前付けのルール)
- お迎え時間の融通(仕事都合で延長したい場合の連絡フロー)
持ち物の準備は意外と量があります。詳細は 入園準備チェックリスト に整理してあるので参考にしてください。
職場への連絡
3ヶ月前のタイミングで、上司・人事部に「復帰予定の意思確認」と「働き方の希望」を伝えておくとスムーズです。確認しておきたい項目は次の通りです。
- 復帰時期(保育園入園日との整合性)
- 働き方の希望(フルタイム / 時短勤務 / 在宅勤務の併用)
- 部署異動・業務内容の変化があるか
- 育児休業給付金の終了タイミング(復帰日の前日まで)
- 復帰時のオリエンテーション・引き継ぎ予定
会社によっては「復帰前面談」を制度化しているところもあります。育休中の業務変化を聞いて、自分のキャリアの方向性を考える機会にもなります。
育児支援制度の確認
勤務先の就業規則と、法律上の育児支援制度を一度確認しておきましょう。多くの企業が法定どおりの制度を持っていますが、独自に上乗せしている会社もあります。
- 育児短時間勤務:法律上は子が3歳に達するまで義務化。3歳以降〜小学校就学までを努力義務として延長している企業もある
- 所定外労働の制限(残業免除):2025年4月の改正で対象が拡大し、小学校就学前まで請求可能(子の看護等休暇の拡大・所定外労働の制限の対象拡大ともに2025年4月施行)
- 時間外労働の制限:小学校就学前まで、月24時間・年150時間以内
- 深夜業の制限:小学校就学前まで、深夜(22時〜5時)の労働を免除
- 子の看護等休暇:2025年4月の改正で対象が小学校3年生修了までに拡大し、取得事由に感染症による学級閉鎖や入園・入学式・卒園式等が追加。子1人につき年5日(2人以上は年10日)
制度の詳細は 厚生労働省「育児・介護休業法について」 でも公開されています。法改正で随時アップデートされるので、復帰前に最新情報をチェックしておくと安心です。
復帰2ヶ月前
2ヶ月前は「家事・育児を、復帰後の生活でどう回すか」をシミュレーションする時期です。頭の中だけで考えると抜け漏れが出るので、紙やアプリに書き出してみるのがおすすめです。
家事・育児の分担見直し
育休中はどちらか(多くは育休取得側)が家事育児の大半を担っている家庭が多いと思います。復帰後は両者ともフルで働く前提になるので、改めて分担を見直しておくと「言わなくても伝わっているはず」というすれ違いを防げます。
分担表を作るときは、タイムスロット別に分けると現実的です。
- 朝(起床〜送り出し):朝食準備・着替え・保育園送り・洗濯回し
- 夕方(お迎え〜夕食):保育園お迎え・買い物・夕食準備
- 夜(夕食後〜就寝):お風呂・歯磨き・寝かしつけ・翌日準備
- 週末:作り置き・掃除・買い出し・子供との外出
- 突発対応:保育園からの呼び出し・通院・夜泣き対応
「平日朝はパートナーが送り、夕方は早く帰れる側がお迎え」のように、固定できる部分と「その日に話し合って決める」部分を分けておくと、毎日の細かい調整ストレスが減ります。
平日の朝・夜のシミュレーション
休日に「平日の朝と同じ時間に起きて、同じ流れで動いてみる」シミュレーションを1〜2回やっておくと、想定外の時間ロスに気付けます。よくある気付きは次のような点です。
- 朝食を食べさせるのに思ったより時間がかかる(特に1〜2歳のイヤイヤ期)
- 保育園に着いてから連絡帳の記入・着替えのセットなどで10分以上かかる
- 夕方のお迎え→夕食までに「子供がお腹を空かせてグズる」時間帯がある
- 洗濯・夕食・寝かしつけを並行するのが想像以上に大変
事前に体験しておくと、後述の家電・家事外注をどこに投入するかの判断がしやすくなります。
家事の外注・時短家電の検討
「全部自分たちでやる」前提を一度外して、外注・家電投資を検討する価値があります。共働きで時間に余裕がないなら、お金で時間を買う発想は合理的です。
時短家電(一度買えば長く効く)
- 食洗機(毎日30分〜1時間の手洗い時間を削減)
- 乾燥機付き洗濯機(干す・たたむの一部を省略)
- ロボット掃除機(不在時に床掃除)
- 電気圧力鍋・ホットクック等の自動調理鍋(朝セット→帰宅時完成)
食事の外注
- パルシステム(生協系、離乳食・幼児食メニュー充実)
- Oisix(オイシックス)(ミールキット20分調理)
- コープデリ(地域生協、配達料の子育て割引あり地域も)
- ヨシケイ(夕食食材の日替わり宅配)
- nosh・三ツ星ファームなどの冷凍宅食(チンするだけ)
ベビーシッター・ファミリーサポート
- 自治体のファミリーサポートセンター(送迎・一時預かりが時給500〜1,000円程度の地域も)
- 民間のシッター(時給2,000〜4,000円程度が中心、夜間は割増)
- 企業の福利厚生(ベネフィット・ステーション等で割引あり)
- 内閣府「ベビーシッター割引券(企業主導型)」を導入している会社も
家事代行
金額感は会社や地域で差があります。週1回2時間で月2〜3万円程度が一つの目安。「お金で時間を買うのに罪悪感がある」と感じる場合もありますが、復帰直後の余裕のなさは想像以上で、夫婦どちらかが体調を崩すリスクを考えれば合理的な投資という見方もできます。
復帰1ヶ月前
1ヶ月前になると、慣らし保育の開始や、復帰後の細かい段取りを詰めるフェーズに入ります。
慣らし保育のスケジュール
典型的な進み方の一例(園・自治体によって幅があります)。
- 1日目〜3日目:1〜2時間のみ(午前中の一部)
- 1週目後半:午前のみ(給食前にお迎え)
- 2週目:給食を食べてお迎え
- 3週目:午睡まで or 通常保育(夕方まで)
慣らし保育の期間中は、子供が新しい環境に慣れていく時期にあたり、体調を崩しやすい時期と言われることもあります(個人差が大きく、医学的な断定はできません)。職場にも「慣らし保育期間は急な早退・休みの可能性が高い」と事前に共有しておくと、いざという時に動きやすくなります。
慣らし保育中は親も新しいリズムに慣れる時期です。完璧に進めようとせず、子供の様子を見ながら園と相談していけば大丈夫です。
病気対策(病児保育・ファミサポ・親族)
保育園に通い始めると、子供が体調を崩すことが増える時期があると一般的に言われます。復帰直後に「子供が熱を出して、夫婦どちらも休めない」という状況にならないように、事前に複数の選択肢を確保しておくのが現実的です。
自治体の病児・病後児保育
- 居住地域の病児保育施設を事前リストアップ
- 登録手続き(事前登録が必要な施設が多い)
- 定員・予約方法・利用料・送迎の有無を確認
民間のベビーシッター・病児対応サービス
親族の協力体制
- 祖父母など近隣の親族に「呼び出しがあった時に頼める可能性」を事前相談
- 遠方なら「数日泊まりで来てもらえる可能性」も含めて
- 連絡フロー(誰が電話するか、何時までに判断するか)を決めておく
夫婦間の調整・連絡フロー
復帰前に「子供が体調を崩した時の連絡フロー」を夫婦で決めておくと、当日に揉めなくて済みます。決めておくと役立つことの例。
- 保育園からの呼び出し電話を最初に受けるのはどちらか(順番で交代制にする家庭もある)
- 呼び出し連絡を受けたらまず何をする(パートナーに連絡、上司に連絡、お迎え準備)
- 翌日以降「子供の看病でどちらが休めるか」の優先順位(仕事の繁忙度・代替要員の有無で)
- 祖父母・シッターのバックアップを使うタイミング
復帰1週間前
あと1週間というタイミングでは、生活面の最終調整に集中します。
通勤シミュレーション
- 保育園→駅→職場の朝のルートを実際に歩いてみる
- 夕方のお迎え時間に間に合う電車・退社時刻を逆算
- 雨の日の予備手段(タクシー予約アプリ・自転車のカバー等)
- 子供の急な発熱時に職場から保育園に向かう経路と所要時間
平日の準備(作り置き・予備品)
- 初週分の朝食・夕食の作り置き or 冷凍ストック
- 保育園の予備の着替え・おむつ・ビニール袋を多めに用意
- 自分の通勤用バッグ・仕事着・名刺・社員証の確認
- 子供の連絡帳・印鑑・コップ・ハンカチなど名前付け済みかチェック
「名前付け」だけでも数時間かかることが多いので、1週間前までには終わらせておきたい作業です。
復帰直後の1ヶ月
復帰直後は「想定通りに進まないのが普通」と最初から思っておくと、気持ちが楽です。
最初の1ヶ月で起こりがちなこと
- 子供が立て続けに風邪を引く(新しい集団環境で経験する一般的な状況)
- 仕事が思うように進まない(職場のキャッチアップ・新しい業務フロー)
- 夜泣きや夜間覚醒が増える(環境変化のストレス反応)
- 夫婦どちらかが体調を崩す(疲労蓄積・子供からの感染)
「最初の1ヶ月は赤点」くらいの期待値で始めると、想定内の出来事として受け止められます。早退・欠勤の謝罪は淡々と必要事項だけ伝え、過剰に申し訳なさを表現しなくても大丈夫です。会社側も育児中の従業員にこういう局面があることは理解している前提で運用されているはずです。
家事の優先順位を絞る
- 「やらない家事」を意識的に決める(例:毎日の掃除機・アイロンがけは週末のみ)
- 完璧主義を一旦停止(食事は冷凍・宅食を頼って良い)
- 洗濯はたたまずカゴから直接取り出す運用にする家庭も
- 「夫婦どちらかが倒れたら家庭が回らない」を最優先に、休める時に休む
時短勤務の選び方
復帰後の働き方として、時短勤務を選ぶ家庭は多いです。選び方のポイントを整理します。
時短の時間設定
- 6時間勤務:保育園送迎の余裕が大きい、給与は減るが体力的に持ちやすい
- 7時間勤務:フルタイムに近い形で働きつつ、朝か夕方どちらかにバッファ
- フレックスタイム:コアタイム以外は柔軟、保育園送迎との両立がしやすい
- 在宅勤務の併用:通勤時間ゼロで保育園送迎の自由度が高い
キャリアへの影響と長期視点
時短勤務にすることで、短期的には昇進・昇給ペースが緩やかになる可能性はあります。一方で、子供が成長すれば徐々にフルタイムへ戻すこともでき、長期的には大きなマイナスにはならないという見方もできます。「いま無理をしてキャリアを優先する」「いまは育児に重心を置いて、後でキャリアを取り戻す」のどちらが家庭にとって良いかは、価値観で決めて良い部分です。
復帰後の働き方の選択肢
復帰イコール「育休前と同じ働き方に戻る」ではありません。家庭の状況と本人の希望に応じて、いくつかの選択肢があります。
- フルタイム復帰:給与・キャリアを維持しやすい、ただし家事育児との両立負荷は大きい
- 時短勤務:法定では3歳まで義務、企業によっては小学校就学まで or それ以降
- 在宅勤務中心:コロナ禍以降に制度化した企業が多い、通勤時間ゼロは大きなメリット
- パートタイム転換:労働時間と給与をさらに下げる、社会保険の扱いを確認
- 転職:育休復帰のタイミングで子育てしやすい職場へ移る選択肢も
- フリーランス・業務委託化:時間と場所の自由度を最大化、収入と社会保険は自己責任
どの選択肢が良いかは家庭ごとに違い、「これが正解」というものはありません。復帰直後はフルタイム→3ヶ月後に時短に切り替える、のように途中で変更する家庭もあります。
公的支援との関係
復帰のタイミングで関わる公的支援を整理します。
育児休業給付金の終了
育児休業給付金は、復帰した時点(休業終了時点)で支給が終わります。最後の支給は復帰日の前日までが対象となるイメージです。詳細は ハローワーク「雇用継続給付」 で確認できます。
児童手当は復帰後も継続
児童手当は所得制限の見直しなどで内容が変わっていますが、復帰したからといって停止になるわけではありません(収入が大幅に変わって所得区分が変わる場合は別です)。詳しくは 児童手当ガイド を参照してください。
育児短時間勤務中の社会保険料
「育児休業等終了時報酬月額変更届」を会社経由で提出することで、時短勤務で減った給料に応じて健康保険料・厚生年金保険料が減額される仕組みがあります(標準報酬月額の改定)。さらに、年金額が下がらないように「養育期間標準報酬月額特例申出書」を出すと、子が3歳になるまで従前の標準報酬月額で年金計算してもらえる制度もあります。書類は会社の労務担当に確認するとスムーズです。
よくある悩み
「キャリアが遅れるのが不安」
育休と時短で同期との差が広がる感覚は、多くの人が経験します。短期視点で焦らずに、「子供が小学校に上がる頃には働き方を見直せる」「今は育児に重心を置く選択をしている」と長期視点で捉えると、気持ちに余裕が出ます。育休経験者がマネジメント層に増えてきている職場では、復帰後のキャリアパスも広がっています。
「夜泣きで仕事に集中できない」
復帰直後は子供の生活リズム変化で夜間覚醒が増えることがあります。パートナーと「今夜はどちらが対応するか」を交代制にしたり、週末に親族の協力を得て仮眠を取ったりと、夫婦どちらか一方に負担が集中しない工夫が大事です。家庭の状況によっては、ベビーシッターの夜間利用や、両家の祖父母の宿泊サポートも選択肢になります。
「保育園からのお迎えコールが多い」
呼び出し対応は職場で集中するタスクを中断するので、ストレスが大きい部分です。在宅勤務日を集中させる、フレックスを使って早朝に集中作業する、リモートで応答できる業務とそうでない業務を区別する、など働き方を工夫することで、呼び出し時の影響を小さくできます。
「夫婦どちらが休むかで揉める」
呼び出し対応の偏りは、長期的な夫婦関係にも影響します。「次は私(僕)が」と順番で交代する、繁忙期は明示的に「この期間は私が優先で休む」と決める、など仕組み化するとフェアに運用しやすくなります。お互いの仕事の繁閑を共有しておくのが前提です。
「保育園に預けることへの罪悪感」
「もっと一緒にいてあげたい」という気持ちが出てくる時期があります。一方で、保育園は同年代の子供との社会経験・規則的な生活リズム・栄養バランスの取れた給食など、家庭で再現するのが難しい価値も提供してくれます。「家庭での時間を濃く過ごす」「週末はゆっくり子供と過ごす」など、量より質に切り替える発想で乗り切る家庭が多いです。
「もう一人欲しいが復帰直後で迷う」
第2子を考えるタイミングは家庭ごとに違います。復帰してから1年〜2年で第2子の育休に入る家庭もあれば、上の子が落ち着くまで待つ家庭もあります。連続育休になると会社側の調整が必要になる場合があるので、計画が固まった段階で早めに人事と相談しておくと安心です。
「保育園が決まらず復帰時期がずれそう」
認可保育園に入れず、復帰時期を後ろ倒さざるをえない状況もあります。育児休業給付金は、認可保育所に申し込んだが入所できなかった場合など、一定の要件を満たすときに限り1歳6ヶ月(さらに2歳)まで延長できる仕組みがあります。延長には自治体発行の「入所保留通知書」など書類が必要で、2025年4月以降は延長審査が厳格化されています(復職の意思を持って保育所に申し込んだことの確認など)。入所選考の結果が出たらすぐに会社・ハローワークと相談すると手続きがスムーズです。認可外保育園・企業主導型保育・ベビーシッターを併用しながら復帰する選択肢もあります。
「在宅勤務中に子供がいて集中できない」
復帰後に在宅勤務日を入れる家庭は増えていますが、保育園に預けずに在宅勤務で子供を見ながら働くのは現実的でない場面が多いです。多くの会社では「在宅勤務日でも保育園に預ける」運用が前提で、保育園送迎の融通が利く点が在宅勤務の主なメリットになります。子供が体調を崩した日に在宅で仕事を続けるのは難しい、と最初から割り切っておくと予定が組みやすくなります。
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▶ 子供グッズ比較ハブを見る※ 育児支援制度・給付金・自治体サービス・各事業者の料金やサービス内容は変更される場合があります。最新の情報は厚生労働省・お住まいの自治体・各事業者の公式サイトでご確認ください。本記事は2026年5月時点の一般的な情報を整理した解説で、特定のサービス・働き方を推奨するものではありません。具体的な制度の適用については勤務先の労務担当・社会保険労務士など専門家への確認をおすすめします。